再根管治療
再根管治療とは
根管治療が成功しなかったときに行ないます
すでに一度根管治療をした歯に炎症が起きてしまう場合があります。その場合は、再度根管治療を行います。
*当院に来院する患者さまの多くは、一般歯科での保険を使った根管治療でなかなか治らない方が多く来院されています。
再根管治療が必要になる症状
- 根管治療後数ヵ月、場合によっては年単位で違和感が残り思うように咬めない。
- 痛みや腫れが再発した。
- 痛みはないが治療した歯の歯肉から膿が出ている。
再根管治療が必要になる原因
- 根管の湾曲や枝分かれが原因で汚れの取り残しがある。
- 根管の湾曲や枝分かれが原因で根管充填が不十分である。
- 見落としによる未治療の根管がある。
- 根管充填が終了してから被せ物を入れるまでに長い期間があいてしまったため、再び細菌感染した。
- 被せ物の適合が悪く隙間から細菌感染した。
- 被せ物の横から新たな虫歯が発症して細菌感染した。
- 歯根が破折(縦割れ)した。
再根管治療の治療計画
麻酔
通常、局所麻酔で治療を始めます。
非常に痛みが強くて麻酔が効きづらい場合は、抗生物質と鎮痛剤で急性症状を和らげてから治療をする場合もあります。
根管治療前の準備
唾液が根管内に入らないよう、必要に応じて隔壁を作って根管内に唾液が入らないようにし、ラバーダムを装着します。
充填剤を取り除きます
前回の根管治療で詰めたゴム状充填材「ガッタパーチャ」を取り除きます。(右写真のピンク色)充填剤のまわりには感染によるバイオフィルムが作られ、真っ黒な汚れが溜っています。治療では根管治療専用の細い超音波チップを使って充填剤と汚物を完全に除去します。
再根管治療の成功率は1回目の根管治療と比べて低くなるといわれています。それはこのバイオフィルムに包まれた充填材が根管内にへばりついて取りづらく、感染源の取り残しが生じやすいためです。
- 取り残した充填材
- 専用の除去器具
- 除去後きれいになった根管
歯根が垂直に破折した場合
歯根が垂直に破折した場合は原則抜歯となります。それでも抜歯をしたくない、という場合には、長期間の補償はできませんが再治療時に割れた歯を接着剤でつなぎとめる方法があります。ご相談ください。
再根管治療の症例(47歳男性エンジニアの場合)
初診時
患者さまの主訴
「何回か根管治療を繰り返したが痛みが消えない。歯肉からの膿が止まらない。もう抜歯しなければならないのでしょうか。でもどうしても抜きたくない。」とのことでした。
診断結果と治療方針の決定
歯根の先に黒い影が見えます。この部分に膿が溜まり、骨が溶けていることがわかります。
また、レントゲン内の歯根に濃い白で映った部分がありますが、それが前回の根管治療で詰めた詰め物です。
詳しくみると、詰め物が歯根の先に届いていないことがわかります。おそらくそれが原因で汚れが取りきれていなかったため、再発したと考えられます。
抜歯の必要はなく、再根管治療で治療を開始しました。
根管治療1日目
前回の詰め物やバイオフィルムを綺麗に取り除き、根管の内部をお掃除していきます。
マイクロスコープを使用しながら丁寧にお掃除していくと、この歯には歯根が3つあることがわかりました。歯根が3つあるのは発現率1%と大変珍しく、以前の治療では3本目の歯根を見落としていたことが、何度治療しても治らなかった原因のようでした。
当院ではマイクロスコープを使用して高解像度に拡大しながら治療することで、特殊な根管を発見できました。(写真:左下の穴に3本の歯根が見えます)
その後、根管内を薬品で洗浄・殺菌します。
根管治療2日目
根管が綺麗になったことを顕微鏡で確認します。
その後、根管の先端まですき間が入らないように、バイオセラミクセメント(MTA)で根管充填しました。バイオセラミックセメントは、骨を再生させることができる充填材です。
※この日の治療後、膿が止まりました。
根管治療3日目
土台を立てて、仮歯を被せました。
経過観察(半年後)
初診時の痛みは消えました。
レントゲンで見ても、歯根の周りの黒い部分が小さくなったことが確認でいます。
この症例にかかった費用
クラウン除去 | ¥5,500 |
ポストコア除去 | ¥8,800 |
う蝕除去 | ¥8,800 |
根管治療費 大臼歯 | ¥154,000 |
隔壁 | ¥8,800 |
根管充填(バイオセラミクセメント(MTA)) | ¥44,000 |
ファイバーポストコア | ¥38,500 |
仮歯 | ¥8,800 |
レーザー治療 | ¥3,300 |
合計額 | ¥280,500 |
*被せ物治療の料金は含まれません。
被せ物治療は日頃かかりつけの歯科医院さんへの転院も可能です。